松永、研究員試験合格
御目出度う。つい
先刻電報を受け取つた処だ。遠方から度々の便りを頂戴し、
本當に有難く思つてゐる。
貴兄からの便りは
何時も樂しみに拝讀してゐる。貴兄の活躍を聞く度に、小生も
我事の
様に嬉しく又誇らしい。返事が大変遅くなつて仕舞つた事、本當に申し譯無かつたと思つてゐる。だうか小生の無精を赦して呉れたまへ。
此方も報告が遅くなつて仕舞つたが、小生はこの八月で大學を
辭し、群馬の
實家へ歸る事になつた。貴兄の凱旋を東京で迎へられない事、心から申し譯無く思ふ。貴兄の益々の栄達を、遠い國から願つてゐる。
大正二年 八月十五日
相澤 紫
松永栄一郎殿