イラスト『懐古』は、そもそもが全て友人との会話から生まれたものでした。
描く作品のテーマに詰まって、友人に題材の提供をお願いしたところ、「書生ものを見てみたい」とのリクエストを頂き一枚描いてみたのですが(Illustの『砕け散る言ノ葉』という作品です)、描いてみると私もすっかりこの題材にはまってしまって、続けてすぐにもう一枚描いてみたものが、この作品でした。
ちょうど季節は秋で、時節柄にあったトップ絵を描きたいと、何気なく描いてみたこの絵を見て、『昔のことを思い出して、寂しくなってしまったような雰囲気だね』と感想をくれたのも同じ友人です。『懐古』というタイトルをこの作品につけたのも、友人とのこの会話があったからでした。
そんな何気なく描いたこのイラストから、このような素晴らしい短編を生み出して頂けるとは、本当に予想だにしておりませんでした。


拙作を気に入って下さった『INDULGE』のユエ様が、この作品を書上げてプレゼントしてくださった時、まずその文章の美しさに驚きました。
旧字体の持つ独特の味わい、互いを思いやって交わされた、情のこもった手紙の陰に秘められた哀しい事実、それらをあくまで静かな文体で、丁寧に、しかし無駄な部分を削ぎ落として、見事なまでにまとめられた一編の物語。
帰らない友人を遠くの地から想う青年の心や、気づかぬうちに大事な人を失ってしまった青年の嘆きに思いを巡らせると、本当に切なくなります。一読した時からそれぞれの場面場面がリアルに私の頭の中に浮かび、すっかり消えなくなってしまいました。
堪えきれずにユエ様に是非この作品のイメージで絵を描かせていただきたいとお願いして、今回のような形でこのサイト上にアップさせて頂くことになったわけです。
優れた作品をたくさんお書きになっているユエ様ご自身にとっても、この作品はとりわけ思い入れの深い作品であると、作品を頂いた時にご本人からちらりと伺いました。
そんな作品をくださり、また快くサイト上に転載することを承諾していただき、本当に感謝しております。

須雲あつみ

―――以下、ユエ様より、コメントを頂きました。ユエ様、もったいないほどのコメントを、そして素晴らしい作品を、本当にどうもありがとうございました。心より感謝申し上げます。こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願い致します。

*  *  *


こんにちは、この度は拙作をご高覧くださいましてありがとうございます。
須雲さまの数多くのファンの一人として、このような形で作品を発表できることをとても嬉しく思います。

いつもうっとりと溜め息をつきながら須雲さまのイラストを拝見しては、色々と妄想を膨らませている私ですが、麗しくかつ物語を感じさせるイラストの数々に、描かれた青年達の背景を思い浮かべるのはきっと私だけではないはずと推察いたします。[懐古]のイラストに皆様が描かれたイメージをどうか拙作が壊すことのないように…。もしほんの少しでも皆様のお気に召すところがございましたら、同じ「須雲ファン」としてとても嬉しいです。

最後に、このような発表の場を与えてくださり、その上拙作を素晴らしい漫画で表現してくださった須雲さまに心からの感謝を。
これからもどうぞ宜しくおつきあいくださいますよう、お願い申し上げます。



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